一般内科とは

一般内科では、プライマリーケア(初期診療)として特定の部位や専門領域にこだわらず、内科疾患全般を幅広く診療します。風邪症状(発熱、鼻水・鼻づまり、喉の痛み、咳、痰)、胃腸炎(腹痛、下痢、吐き気・嘔吐)などの消化器症状、胸痛、呼吸困難感・息苦しさ、頭痛、めまい、脱水症、発疹、関節痛など、一般的でよくある症状や疾患に対応した診療を行います。
また、生活習慣病(糖尿病、高血圧症、脂質異常症、高尿酸血症 など)、アレルギー疾患(アレルギー性鼻炎、気管支喘息、蕁麻疹 など)、貧血、慢性便秘、不眠などの慢性疾患につきましてもご相談ください。
症状でどの診療科にかかったらよいのか分からない場合や健康診断・ドックで指摘された項目について、どの診療科にかかったらよいか分からない場合など、お悩みの場合は、お気軽に受診・ご相談ください。
診察の結果、専門の医療機関での検査や治療または入院加療が必要と判断した場合は、聖路加国際病院など当院と連携する医療機関をご紹介いたしますので、ご安心ください。

このような症状の方はご相談ください

内科の主な疾患

急性疾患

風邪症候群(発熱、鼻水、鼻づまり、喉の痛み、咳、痰 など)、咽頭炎、扁桃炎、気管支炎、肺炎、インフルエンザ、胃腸炎(腹痛、下痢、吐き気・嘔吐)、膀胱炎、熱中症

慢性疾患

生活習慣病(糖尿病、高血圧症、脂質異常症、高尿酸血症(痛風)、肥満症、メタボリックシンドローム など)、アレルギー疾患(アレルギー性鼻炎、気管支喘息、花粉症 、蕁麻疹 など)、貧血、頭痛、便秘症、骨粗鬆症、不眠症、慢性腎臓病

風邪症候群

いわゆる「かぜ」のことで、感冒症状(発熱、鼻水、鼻づまり、喉の痛み、咳、痰 など)を認めます。
くしゃみなどで飛散する飛沫を介してウイルスなどの病原体が、気道内に入って気道粘膜に付着し、侵入・増殖することから始まるとされています。病原体が侵入しても、 体の抵抗力が保たれているときはウイルスなどが増殖せず、症状は出現しません。しかし、 疲労やストレスが溜まって免疫力が弱っているときは、身体が病原体に負けてしまい、発熱や咳などの症状が現れます。

原因

原因微生物は、80~90%がウイルスといわれています。

主な原因ウイルス

ライノウイルス、コロナウイルス、RSウイルス、パラインフルエンザウイルス、アデノウイルスなど

ウイルス以外では、一般細菌、肺炎マイコプラズマ、肺炎クラミドフィラなど特殊な細菌も原因となります。

症状

鼻水、鼻づまり、のどの痛み、発熱、頭痛、全身のだるさなど

一般に上気道(鼻腔から喉頭までの気道)の急性の炎症によるものですが、下気道まで炎症が及ぶと咳・痰が出現します。

診断

発症までの経過や症状の確認、同居されている方や職場の方など周囲の環境の流行や感染状況などの確認を行います。
診断の補助や他の病気の可能性などを調べるために検査を行うことがあります。

迅速診断

インフルエンザ、新型コロナウイルス感染症や溶連菌が疑われる場合は、細い綿棒で鼻やのどの粘膜をこする迅速検査で感染の有無を確認します。

血液検査

扁桃炎、肺炎や気管支炎などが疑われる場合は、血液検査で炎症反応を確認します。一般的な風邪と症状や経過が異なる場合は、血液検査で肝機能や腎機能などを調べることがあります。

胸部レントゲン写真

肺炎や気管支炎などが疑われる場合は、胸部レントゲン写真やCT検査を行います。近隣の医療機関にてご予約をお取りいたします。

治療

ウイルス性であれば、安静、水分・栄養補給で自然に治癒するためにウイルスに効果のない抗菌薬は不要です。鼻水・喉の痛み・喀痰などの症状に対する薬や解熱剤など対症療法を行います。扁桃に細菌感染を疑わせる分泌物が認められる場合には、抗菌薬投与を行う場合もあります。

急性胃腸炎

ウイルスや細菌の感染によって胃腸の粘膜に炎症が起きる疾患で、腹痛、嘔吐、下痢などの症状が現れます。辛いものやアルコールなど刺激の強い飲食物の取りすぎや日々のストレスが原因となることもあります。また、非ステロイド系の消炎鎮痛剤や抗生剤など薬剤性に引き起こされることもあります。

原因

原因としてウイルス感染と細菌感染があります。

症状

発熱、吐き気、嘔吐、下痢、腹痛などウイルス性に比べ、細菌性の方が症状が重く出る傾向にあります。

検査・診断

嘔吐や下痢の回数、最近食べた物などをお伺いします。必要に応じて血液検査、便検査などを行います。

治療

ウイルスが原因の場合は、吐き気止め、胃薬、整腸剤などの薬による対症療法を行います。細菌が原因の場合は、抗生剤の投与を行います。十分な水分が取れない場合は点滴を行うこともあります。

ポイント!

胃腸炎だと思ったら、辛いもの・酸っぱいものなど刺激物は口に入れるのを控え、消化の良いものを食べることをおすすめします。水分補給も大切です。冷えた水分は胃に負担をかけるため、常温のものをお勧めします。
感染性胃腸炎はウイルスが原因であることが多く、主に口や手から侵入します。手洗いやうがいを心がけましょう。
ノロウイルスなど一般的なアルコール消毒では死滅しないウイルスもおります 。次亜塩素酸ナトリウムが入った家庭用洗剤(キッチンハイターなど)で消毒すると効果的な場合があります。

貧血

立ち上がった時に頭がふらっとする状態を「貧血」ととらえていらっしゃる方が大変多いですが、これは「立ちくらみ」です。「立ちくらみ」は起立性低血圧などに伴うもので、貧血との関連はありません。
血液中の赤血球にはヘモグロビン(血色素)というタンパク質があり、酸素を運ぶ役割があります。貧血とは、ヘモグロビンの量が低下する状態を指します。
貧血の基準値は年齢と性別によって異なります。WHO(世界保健機関)の定義では、血液中のヘモグロビン値が男性で12.5 g/dl以下、女性で11.5 g/dl以下のことをいいます。もっとも多い貧血の症状は、息切れです。
貧血には様々な原因があり、MCV値(赤血球の大きさ)で分類するのが一般的です。MCVが80~100 fLの貧血を正球性貧血とよび、これ未満を小球性貧血、超えるものを大球性貧血と呼びます。

小球性貧血

主に鉄欠乏性貧血(鉄が不足している)と慢性疾患(炎症によって鉄がうまく利用できない)に伴う貧血があります。これらを区別するために、血清鉄、不飽和鉄結合能(UIBC)、総鉄結合能(TIBC)、貯蔵鉄(フェリチン)などを血液検査して診断いたします。男性、閉経後の女性の鉄欠乏性貧血の原因として最も多い原因は消化管出血です。便が黒い、便に血が付いているなどの症状がありましたら消化器内科にご紹介致します。
全貧血の3分の1程度が、慢性疾患に伴う貧血です。甲状腺疾患、慢性腎臓病、関節リウマチなどが原因となります。この場合、原因となる疾患の治療が貧血の改善につながります。また腎機能の低下が貧血の原因になっている場合には、赤血球をつくるもととなる赤血球造血刺激因子を補うためにESA製剤の注射、また赤血球を体内でつくりやすくするために低酸素誘導因子(HIF)作動薬の内服を行うこともあります。

大球性貧血

主に胃切除後、萎縮性胃炎などに伴うビタミンB12の欠乏や胃から分泌される内因子(ビタミンB12の吸収に必要なタンパク質)の不足、栄養不良による葉酸欠乏やアルコール多飲、銅の欠乏が原因となります。

正球性貧血

様々な疾患が関連しているため、まず血液検査で網状赤血球(幼若な赤血球)を検査します。網状赤血球数増加がある場合、溶血性貧血か急性失血を疑います。溶血性貧血は、遺伝性か後天性かで分けられ、遺伝性球状赤血球症、遺伝性楕円赤血球症、自己免疫性溶血性貧血、発作性夜間血色素尿症などが当てはまります。
網状赤血球が正常もしくは減少している場合は、赤芽球癆、腎性貧血、続発性貧血(脾機能亢進症、内分泌疾患:甲状腺、悪性腫瘍)、再生不良性貧血(血液を作る骨髄の機能低下)、骨髄異形成性症候群(骨髄で正常な血球が作れない)、発作性夜間血色素症、骨髄線維症、多発性骨髄腫(免疫細胞の一種である形質細胞が骨髄で腫瘍性に異常増殖し正常な血液の産生を妨げる)、白血病(腫瘍化した異常な白血球が大量に増殖する)、血球貪食症候群、癌の骨髄転移が鑑別に挙がります。

原因がはっきりしない高齢の方の貧血は加齢に伴い、男性ホルモン(テストステロン)の減少、炎症などによる貧血が多く、「説明不能な貧血」と総称されます。
健康診断・ドックなどで貧血を指摘された場合はご相談ください。原因として血液疾患が疑われた場合は血液内科へ、消化管出血の可能性が高い場合は消化器内科へ、婦人科系の疾患が疑われた場合は婦人科へスムーズにご紹介致しますので、ご安心ください。

膀胱炎

「膀胱」は、尿を溜めるところで内面がやわらかい粘膜の袋です。その膀胱に炎症を起こすのが「膀胱炎」です。陰部に存在する大腸菌などの腸内細菌が、尿道をさかのぼって膀胱の中に侵入し、増殖することにより、引き起こされます。排尿時の疼痛、頻尿、尿の濁り、血尿、残尿感などの症状が現れることがある一方、一般的に発熱は起こしにくいです。女性は男性に比べて尿道が短いため、細菌が膀胱内に侵入しやすいため、圧倒的に女性に多い病気です。
水分をあまり摂取しないことやトイレを我慢するなどの行動が、膀胱炎の発症リスクを高めます。

症状

急性膀胱炎

排尿時の強い痛み、頻尿、尿の濁り、血尿、残尿感などを起こします。排尿時に差し込むような痛みを認め、特に最後にツンとしみるような強い痛みを生じます。排尿回数が増え、30分〜1時間ごとにトイレに行きたくなります。1回で出る尿の量は少なく、残尿感が強いため、トイレから出られなくなることもあります。

慢性膀胱炎

自覚症状が出ないことがあり、症状がある場合も軽いことが多いです。症状がある場合は、急性膀胱炎の場合と同様に頻尿、残尿感、尿失禁、血尿などです。持続的に症状が続いたり、繰り返したりすることも多くなります。

診断

膀胱炎の疑いがある場合、尿検査を行います。尿を採取する場合、出はじめの尿より中間尿(途中の尿)をとります。尿検査で白血球や細菌が見つかれば膀胱炎と診断できます。

治療

細菌感染が原因で、8割以上は大腸菌によるものとされていますので、それに合った抗菌薬による治療を行います。服用から数日で症状が治まりますが、再発を防ぐためにも医師の指示通りに服薬を続けてしっかり治しましょう。薬剤耐性菌が増加しているため、尿検査による薬剤感受性検査で効果が見込める抗菌薬を確認する必要性が生じるケースもあります。また、こまめに水分を摂ることや冷えの解消、トイレを我慢しないなども心がけ、再発を防ぐことも大切です。薬の服用が終わったら、再度尿検査で 膀胱炎が完治していることを確認しましょう。