頭痛とは

頭痛とは頭部の一部あるいは全体の痛みの総称のことで、後頭部と首の境界、眼の奥の痛みも関連します。頭痛は老若男女問わず認め、日本人では4人に1人は頭痛持ちと言われています。
頭痛の原因は様々ですが、頭痛の原因が生命に危険性があるかどうかを見極めることが大切です。頭痛に関して発生時期・痛みの性状・持続期間・頻度などの問診を行い、必要な場合はMRI検査やCT 検査を実施し、診断いたします。

分類

頭痛の分類

頭痛(発作)を繰り返す(持続する)慢性頭痛症(一次性頭痛)と脳腫瘍、クモ膜下出血や脳卒中、脳炎、髄膜炎など脳や頭部の病気の症状として出てくる頭痛(二次性頭痛)に分けられます。一次性頭痛には片頭痛、緊張型頭痛、群発頭痛などがあり、生命に危険性がないことが多いです。
急性に生じた頭痛で、これまでに経験がないひどい頭痛、発熱している、麻痺やしびれを伴うような場合や頭痛が数週間で悪化しているような場合には生命に危険性を生じる場合があり、至急、脳神経外科または神経内科を受診して正確な診断を受ける必要があります。

国際頭痛分類第3版の大分類(2018年)

①一次性頭痛
  1. 片頭痛
  2. 緊張型頭痛
  3. 三叉神経・自律神経性頭痛(TACs)
  4. その他の一次性頭痛疾患
②二次性頭痛
  1. 頭頸部外傷・傷害による頭痛(例:むち打ちによる持続性頭痛)
  2. 頭頸部血管障害による頭痛(例:くも膜下出血)
  3. 非血管性頭蓋内疾患による頭痛(例:脳腫瘍)
  4. 物質またはその離脱による頭痛(例:薬剤の使用過多による頭痛)
  5. 感染症による頭痛(例:髄膜炎)
  6. ホメオスターシス障害による頭痛(例:高山性頭痛)
  7. 頭蓋骨、頸、眼、耳、鼻、副鼻腔、歯、口あるいはその他の顔面・頸部の構成組織の障害による頭痛または顔面痛(例:急性副鼻腔炎)
  8. 精神疾患による頭痛
③有痛性脳神経ニューロパチー、他の顔面痛およびその他の頭痛
  1. 脳神経の有痛性病変およびその他の顔面痛(例:三叉神経痛)
  2. その他の頭痛性疾患

問診

検査

診察で神経学的所見を確認します。
頭部CT・MRIなどの画像診断が必要な場合は、検査施設をご紹介致します。

①片頭痛

ストレス、睡眠不足、様々なきっかけ(ストレス、月経、薬、気圧の変動など)で血液中に「セロトニン」という物質が出て、脳の血管が縮みます。その後、反動で血管が拡がることでズキンズキンと痛みます。脳の血管が急激に拡張した際に、その周囲にある三叉神経が刺激されることでも頭痛が生じます。

特徴

片頭痛の前兆

通常、前兆は60分以内に終わり、引き続いて頭痛が始まります。

片頭痛の予兆

前兆のない片頭痛でも、漠然とした予感を感じることがあります。

誘因

片頭痛には特効薬や予防薬があります。これまで我慢してきた方は是非ご相談下さい。

治療

急性期

日常生活への支障が軽度の頭痛発作に対しては、アセトアミノフェン(カロナール®)、ロキソプロフェン(ロキソニン®)を使用します。
日常生活に支障をきたす中等度以上の発作に対しては、トリプタン製剤を第一選択として、頭痛がはじまってからなるべく早く使用します。ただし、虚血性心疾患や脳血管障害がある方には使用できません。
トリプタン製剤:スマトリプタン(イミグラン®)、ゾルミトリプタン(ゾーミック®)、エレトリプタン (レルパックス®)、リザトリプタン(マクサルト®)、ナラトリプタン(アマージ®)
頭痛とともに吐き気、嘔吐を認めることがあります。我慢せずに制吐薬 メトクロプラミド(プリンペラン®)、ドンペリドン(ナウゼリン®)の内服を検討しましょう。

予防

「頭痛薬の使用が月10回以上」や「トリプタン製剤の効果が乏しい」場合には、片頭痛薬と一緒に「予防薬」の服用を勧めます。原則毎日服用するものです。

  1. カルシウム拮抗薬
    ロメリジン(ミグシス®)
  2. 抗てんかん薬
    バルプロ酸(デパケン®、セレニカ®)
  3. β遮断薬
    プロプラノロール(インデラル®)
  4. 抗うつ薬
    アミトリプチン(トリプタノール®)
  5. 漢方薬
    五苓散、呉茱萸湯(ごしゅゆとう)など

上記で無効または有害事象で使用できない場合はCGRP(calcitonin gene-related peptide)
関連抗体薬を使用します。保険適用の用件は「既承認薬が使用できない」、「片頭痛4日/月以上」です。

ガルカネズマブ(エムガルティ®)注
エレヌマブ(アジョビ®)注
フレマネズマブ(アイモビーグ®)注

②緊張型頭痛

特徴

反復性(月に15日未満)と慢性(月に15日以上、3ヶ月を超える)に分類されます。

誘因

治療

急性期

発作性には、アセトアミノフェン(カロナール®)、ロキソプロフェン(ロキソニン®)を使用します。筋緊張時には、チザニジン(テルネリン®)を使用します。

予防

まずは薬剤を使用せず、体操やマッサージ、精神療法および行動療法,理学療法を行います。
薬物療法としては抗不安薬や抗うつ剤が用いられています。
アミトリプチリン(トリプタノール®)、ベンラファキシン(イフェクサー®)

③群発頭痛

緊張性頭痛や片頭痛に比べ、最も痛い頭痛です。

特徴

治療

急性期

発作時の治療としてはスマトリプタンの皮下注射が効果的で、自己注射キットが非常に便利です。群発頭痛の発作に通常の鎮痛剤は無効です。
スマトリプタンコハク酸塩キット(イミグランキット皮下注®)
スマトリプタン液(イミグラン点鼻液®)
ゾルミトリプタン錠(ゾーミック錠®)
酸素吸入(マスクで純酸素7-10L/分、15分間)も有効です。必要な場合はご紹介致します。

予防

  1. カルシウム拮抗薬
    ロメリジン(ミグシス®)
  2. 抗てんかん薬
    バルプロ酸(デパケン®、セレニカ®)
  3. 副腎皮質ステロイド
    プレドニゾロン